国比呂選
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・目覚めるたびベットが古くなっている 池田澄子
・をんなをとこをんなをんなと冬の席 平井照敏
・蠅叩き此処になければ何処にも無し 藤田湘子
・一つ目小僧めつむつてゐる暑さかな 正木ゆう子
・残暑とはシヨートパンツの老人よ 星野立子
・サランラップのふんどし姿で翁は怒る 夏石番矢
・数の子に老の歯茎を鳴らしけり 高浜虚子
・炎天や十一歩中放屁七つ 永田耕衣
・むつかしや何もなき家の煤払い 夏目漱石
・骸骨のうへを粧て花見かな 上島鬼貫
・おそるべき君等の乳房夏来る 西東三鬼
・祭りあと毛がわあわあと山に 西川徹郎
・襟巻きの狐の顔は別にあり 高浜虚子
・魔がさして糸瓜(へちま)となりぬどうもどうも 正木ゆう子
・手をあげて足をはこべば阿波踊り 岸風三楼
・海から誕生光る水着に肉つまり 西東三鬼
・冬に生まれたばった遅すぎる早すぎる 西東三鬼
・化粧ふれば女は湯ざめ知らぬなり 竹下しづの女
・老いぬれば股間も宙や秋の暮 永田耕衣
・あやまちはくりかえします秋の暮 三橋敏雄
・肉マンをころんでつぶす二月かな 井川博年
・あんぱんを落として見るや夏至の土 永田耕衣
・水虫の僧の来りて盆供養 田川飛旅子
・むづかしき辭表の辭の字冬夕焼け 富安風生
・さくらんぼ笑みで補ふ語学力 橋本美代子
・このひととすることもなき秋の暮 加藤郁乎
・俳々と馬鹿の一念寒たまご 加藤郁乎
・もがり笛よがりのこゑもまぎれけり 加藤郁乎
・一対か一対一か枯野人 鷹羽狩行
・ああいへばかういう兜太そぞろ寒 鷹羽狩行
・丸腰の兜太が行くぞ福寿草 清水哲男
・便所より青空見えて啄木忌 寺山修司
・秋風にちりめんじゃこが泳ぎ着く 坪内稔典
・尼寺の戒律こゝに唐辛子 高浜虚子
・蠅叩とり彼一打我一打 高浜虚子
・時計屋の時計春の夜どれがほんと 久保田万太郎
・コカコーラ持って幽霊見物に 宇多喜代子
・一つすうと座敷を抜る蛍かな 夏目漱石
・ゆびきりの指が落ちてる春の空 坪内稔典
・耳につく童女の鈴の野辺送り 林田紀音夫
・揚羽より速し吉野の女学生 藤田湘子
・六つで死んでいまも押入で泣く弟 高柳重信
・赤とんぼ目玉廻してポトリ採れ 国比呂
・髪長き蛍もあらむ夜はふけぬ 泉 鏡花
・すきとおるそこは太鼓をたたいてとおる 阿部完市
・あんかう(鮟鱇)や孕み女の釣るし斬り 夏目漱石
・生前も死後も泉へ水飲みに 中村苑子
・貌(かお)が棲む芒の中の捨て鏡 中村苑子
・寒い月ああ貌がない貌がない 富沢赤黄男
・マスクして彼の目いつも笑へる目 京極紀陽
・スケートの濡れ刃携へ人妻よ 鷹羽狩行
・剃刀に蠅来て止まる情事かな 寺山修司
・血を喀いて目玉の乾く油照 石原八束
・油屋にむかしのあぶら買いにゆく 三橋敏雄
・目かくしの背後を冬の斧通る 寺山修司
・蝉の眼をはこんでゐたる秋の蟻 大木あまり
・ある日妻ぽとんと沈め水中花 山口青邨
・ひげを剃り百虫足を殺し外出す 西東三鬼
・太郎に見え次郎に見えぬ狐火や 上田五千石
・毛虫焼く僧の貧乏ゆすりかな 長谷川双魚
・裸に取り巻かれ溺死者運ばるる 右城暮石
・赤ん坊を逆さまにして落ち葉掃く 西川徹郎
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